【後遺障害 12 級 13号 判例】左足部骨折後の痛みで1834万円を獲得した事例

この事例は、当法律事務所弁護士が代理した事案であり、交通事故の判例雑誌「自動車保険ジャーナル」1936号84以下に掲載されました。平成31年赤い本(民事交通事故訴訟損害賠償算定基準)上巻136にも引用されています。

 

  • 被害者、交通事故状況

    被害者は30代男性自営業者でした。

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  • 被害者が原付バイクに乗って片側二車線ある国道を直進走行していたら、すぐ右前方を同方向に走っていた乗用車が左の道路外にあるコンビニエンスストアに行こうとして突然左折して、被害者の原付バイクに衝突したという交通事故でした。
    被害者は、原付バイクもろとも転倒しました。

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  • 骨折の受傷

    被害者は病院に救急搬送され、左足部骨折と診断されました(その他にも傷病名はいくつかありましたが省略いたします。)。    
    言うまでもありませんが、左足部の痛みを生じました。

    ●本件の足部骨折について 

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  • 被害者は、足の甲を骨折しました。足趾(そくし:あしのゆびのことです)の関節付近の骨折でもなく、足関節(そくかんせつ:あしくびの関節のことです)付近の骨折でもなかったのですが、骨折の程度はかなりひどく、足のアーチ形がくずれてしまいました。

    つまり、外傷を原因とした偏平足(へんぺいそく)になってしまったのです。

  • 日常で立つ姿勢をすれば自然と体重は足のアーチ型の部分にかかりますので、治療が困難な部位であるといえます。被害者は病院の指示で足底板をつけることになったのですが、それでもアーチ型の完全回復に至りませんでした。

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  • 骨折の治療、リハビリ

    骨折の治療は保存療法(手術をしない治療法のことです。)が選択され、被害者は、足底板をつける指示をされ、リハビリをしていくことになりました。 

  • しかし、左足のアーチ型のくずれは回復せず、左足部の痛みも良化しませんでした。
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  • 後遺障害等級認定の申し立て

    最初は左足部の痛みに関して後遺障害14級9号(足に痛みが残った後遺障害のことです。)の認定にとどまりました。 
    レントゲンやCTの画像をみると骨折部位の骨癒合(こつゆごう)が良好に得られているという判断理由で、14級を超えた上位等級は認定されませんでした。

  • ●骨折の後遺障害でとても重要なこと … 骨癒合(こつゆごう)

    交通事故に限ったことではありませんが、骨折した場合、まず、折れた骨が元どおりにくっつくかどうかが重要になってきます。医学的に厳密に言えば正しい表現といえないかもしれませんが、折れた骨がくっつくことを骨癒合(こつゆごう)といいます。

    交通事故で骨折した場合の後遺障害では、

    ・折れた骨がくっついているのかいないのか

  • ・折れた骨がくっついたとして、きれいにくっついたのか、それともゆがんでくっついたのか

    が非常に重要になってきます。

    当法律事務所では、交通事故で骨折を受傷した事案をつねに多数取り扱っていますが、骨折した後の骨癒合の状態を、時には協力医の協力を得て、きちんと 確認して、後遺障害等級認定の見通しを立てていきます。
     

  • ただし、本件は特殊な部類に入る事案であり、ポイントは別のところにありました。
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  • 後遺障害異議申し立てにより12級13号が認定されました

    足部の痛みがとてもきつく、仕事もフルパフォーマンスができなくなった被害者は、14級の認定に対して異議申し立てをしたいというご意向でした。 
    異議申し立ては当法律事務所弁護士が代理して行いました。

  • 症状固定後も、被害者には、通院先の病院から紹介された病院にて足部のレントゲン、CT、MRI検査が実施され、その医師の先生の意見書も作成されました。

    それだけでなく、当法律事務所弁護士は、症状固定までの通院先のカルテを入手しました。

    これらを材料に異議申し立てをしました。

    結果は、左足部骨折後の足部痛について、カルテ(診療録)の中にあったフットプリントから、足部アライメントの異常が認められ、これで他覚的神経系統の障害を証明することになり、後遺障害12級13号が認定されました。

    リスフラン関節の脱臼・骨折により足のアーチ型が低下しました。

    足部アライメントとは、骨折により足部のアーチ型がくずれ、偏平足(へんぺいそく)になってしまったという意味でご理解いただければと思います。

    ●フットプリント

    足の裏の形を用紙にプリントしたものです。被害者は、リハビリの際、病院の指示により両足の裏をプリントしていました。

    このフットプリントを見ると、左足裏の全長が右足裏の全長よりも長くなっていることがわかりました。

  • つまり、これにより、外傷により左足部のアーチ型がくずれ、偏平足になっていることがわかりました。
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  • 後遺障害12級の損害賠償請求 裁判提起

  • その後の示談交渉も当法律事務所弁護士が代理しました。

     しかし、相手方任意保険会社との話がまとまらず、裁判(訴訟)を提起することになりました。

    とくに、後遺障害逸失利益という損害について、被害者の収入と労働能力喪失期間の数字に大きな開きがありました。

    また、当法律事務所事務所にご相談いただく前に物損の賠償は終了しており、過失割合が被害者10%、相手方90%で話合いがすんでいたということで、この過失割合を相手は譲ってきませんでした。
    裁判では被害者側からは被害者に過失はなしという主張をしましたが、相手は何と被害者の過失は30%あるという主張をしてきました。

    判決

  • 相手方が被害者に対し、1330万円(10万円未満は切り捨て省略しています)を支払えという判決が下りました。
    被害者から裁判で請求した額は1509万円でした。
    この判決は、この第一審判決で確定しました。
    そのほかに遅延損害金がつき、合計で結局1610万円(10万円未満は切り捨て省略しています)の支払を受けることになりました。  
  • 裁判をする前に、後遺障害12級が認定されたことにより、自賠責保険から224万円の支払をうけていましたので、判決で命じられた1610万円と自賠責保険からの支払分224万円をあわせると、合計1834万円の支払を受けたことになります。

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  • 判決内容の一部をくわしくご紹介します

  • ●傷害慰謝料…196万円
    傷害慰謝料については、入院約1ヶ月半、通院期間10ヶ月、通院実日数は55日でしたが、治療方法に特別の事情がありましたので、当法律事務所弁護士がこれらを細かく主張していった結果、196万円が認定されました。

    ●後遺傷害慰謝料…280万円 
    12級の大阪の裁判基準の標準額になります。

    ●後遺障害逸失利益
    基礎収入について、実収入に関する資料の提出、被害者の家族構成とその状況などを主張し、申告所得額を上回る収入が認められました。  

    労働能力喪失期間について、被害者の左足部痛は、器質的損傷に基づくものであり67歳まで労働能力が喪失するという主張と立証をしました。その結果、症状固定時から67歳まで14%の労働能力喪失が認められました。

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  • 器質的損傷…ここでは、交通事故の外傷により左足部のアーチ型がくずれて偏平足になったものであり、物理的に損傷してしまったということでご理解いただければと思います。器質的な損傷というのは、一生このまま改善する見込みがなく、器質的損傷による痛みは時間が経ったからといって馴れるものではなく、就労可能年齢(67歳)まで労働能力が喪失するという主張を当事務所弁護士がしました。

    ●過失割合
    裁判の結果、被害者に過失は認められないということになりました。

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