交通事故の後遺障害等級と損害賠償

後遺障害(後遺症)等級の認定がなぜ重要なのか

交通事故でけがをし、通院(場合によっては入院もして)治療したけど症状が残った場合
→後遺障害(後遺症)等級認定を申請する問題があります!

1級から14級まである後遺障害(後遺症)等級のいずれかが認定された場合    
→後遺障害逸失利益 後遺障害慰謝料 将来介護費用(重度後遺障害のケースで場合により)
などという損害費目の賠償の問題が出てきます。

つまり、これらの損害費目が増えることによって全体の損害賠償額が増えることが見込まれます(この点、くわしくは当事務所にご相談ください。)。
後遺障害(後遺症)等級が認定されるかどうかで全体の損害賠償額が、かなり違ってくる可能性があるので、後遺障害(後遺症)等級認定が重要なのです。

以下、具体例をあげて考えます。

むちうちで、局部神経症状が残り、後遺障害(後遺症)等級14級が認定された年収360万円の方が、労働能力喪失期間5年と判断されたケース

・むちうちで後遺障害(後遺症)14級が認定された場合、5年までを一応の目安とするという考えがあります。
・被害者の過失はゼロであると考えます。
・後遺障害慰謝料は、特段考慮する事情がないものとし、大阪の裁判基準で考えます。

この場合、後遺障害(後遺症)が認定されたことにより、後遺障害(後遺症)逸失利益後遺障害(後遺症)慰謝料が認められることになります。

後遺障害(後遺症)逸失利益は … 77万9310円 になります。
(計算式)360万円×0.05×4.3295(小数点第五位四捨五入した数字です)=77万9310円

後遺障害(後遺症)慰謝料は … 110万円 になります。

合計で、187万9310円となります。

この例にしたがえば、もし、後遺障害等級14級が認定されるべきケースでありながら後遺障害等級が認定されなかったとすれば、187万9310円の損害賠償が受けられなくなってしまうということになります。

  • 症状固定時32歳の年収470万円の方が、上腕骨大結節骨折後の肩関節機能障害で後遺障害(後遺症)等級12級が認定され、14%の労働能力喪失が67歳まであると判断されたケース

・労働能力喪失期間の終期は原則67歳までとされています。
・被害者の過失はゼロであると考えます。
・後遺障害慰謝料は、特段考慮する事情がないものとし、大阪の裁判基準で考えます。

この場合も、後遺障害(後遺症)が認定されたことにより、後遺障害(後遺症)逸失利益後遺障害(後遺症)慰謝料が認められることになります。

後遺障害(後遺症)逸失利益は … 1077万4224円 になります。
(計算式)470万円×0.14×16.3742(小数点第五位四捨五入した数字です)
=1077万4224円(小数点第一位四捨五入)

後遺障害(後遺症)慰謝料は … 280万円 になります。

合計で1357万4224円になります。

この例にしたがえば、もし、後遺障害等級12級が認定されるべきケースでありながら後遺障害等級が認定されなかったとすれば、1357万4224円の損害賠償が受けられなくなってしまうということになります。

後遺障害(後遺症)等級が認定されるのとされないのとでは、損害賠償額が大幅に変わってくるおそれがあることは、上の2例でもおわかりいただけるものと思います。

ですから、

症状に見合った適切な後遺障害(後遺症)等級が認定されるということは非常に重要であるということ

をご理解いただければと思いますし、

症状に見合った適切な後遺障害(後遺症)等級が認定されるには、事故にあった後、早い段階からの対応が重要であること

もあわせてご理解いただければと思います。