頚椎捻挫後の頚椎固定術で後遺障害11級7号が認定されたケース

(令和2年5月4日更新)

 
 被害者は60代男性の事業所得者の方でした。
 被害者は高速道路で四輪車に乗車していたところ、四輪車に後方から追突
されたという交通事故でした。

 

  • 受傷、治療、症状

 
 この交通事故で、被害者は、頚椎捻挫等を受傷しました。
 自覚症状としては、頚部に非常に強い痛み、一方の手の非常に強いしびれ・
知覚異常等でした。

  この交通事故から少し経過して頚椎MRI検査が実施されました。
 その後も、頚部の強い痛み、手の強いしびれ・知覚異常等は続き、仕事が十分
できるような状況にはありませんでした。

  MRI画像上、頚椎のある部位の椎間板に強い異常があったこともあり、医師
の先生から頚椎の手術(頚椎前方除圧固定術)をした方がいいとの指摘があった
ため、被害者は結局手術に踏み切りました。

 ※この頚椎MRI画像ですが、当事務所弁護士がCD-Rを確認しても、
 その部位は明らかに歪んでいる(という表現が正しいのかどうかはわかり
 ませんが)ことがわかりました。
 つまり、加齢による変性で発生するとは到底考えられないものでした。

 

  • 後遺症(後遺障害)等級認定申請とその結果

 
 当事務所弁護士が後遺症(後遺障害)等級認定申請を代理しました。

  結果は、脊柱変形障害(脊柱に変形を残すもの)として、

   後遺症(後遺障害)等級11級7号

  が認定されました。

  本件事故受傷に伴い頚椎前方固定術の施行が認められるとのことでした。

 

  • 脊柱変形障害後遺症(後遺障害)等級11級7号について

 
 「脊柱(せきちゅう)に変形を残すもの」に該当した場合、後遺症(後遺
障害)等級11級7号が認定されます。
 交通事故の受傷でよくあるのは、頚椎、胸椎、腰椎が圧迫骨折してレントゲン
等画像で確認できるというような場合です。
 ただし、それだけでなく、脊椎固定術が行われたものについても、この11級
7号に該当する可能性があります(そのほか、3個以上の脊椎について椎弓形成
術を受けた場合にもこの要件に該当することになります)。
 詳しくは当事務所にご相談ください。

  なお、上のケースは、腸骨を採って頚椎に移植したのですが、腸骨の変形に
ついては、裸体で判然としないとのことでこの変形障害は認定されませんでした。

 

  • 賠償請求は

 

 その後の最終の損害賠償交渉(示談交渉)や交通事故紛争処理センター手続についても当法律事務所弁護士が代理して行いました。
 本件では争点がかなりありましたが、結果、後遺症(後遺障害)等級11級認定による自賠責保険支払金も含め、弁護士加入後 1770万円 (治療費は除いた金額です)の支払いを受ける解決となりました。

 

 

脊柱変形障害として後遺症(後遺障害)等級が認定された場合の後遺症逸失利益について

脊柱変形(せきちゅうへんけい)という後遺障害が残ったことで、交通事故被害者の仕事能力や仕事内容にどのような影響が及んでいるのかを具体的に主張していくことが大切になります(大切な点はまだ他にもありますが)。

ですので、治療中の段階から、交通事故前の仕事の様子と比べて何か変わったのかをしっかり把握しておくことが重要ですし、職場の方にも聞けるのであれば聞いた方がよいでしょう。

 

反射損害

本件では、事業所得者である被害者が交通事故による受傷で休業しながらも、会社が、その被害者に対し役員報酬を支払った点について、この肩代わり分を会社の損害(反射損害)として一定額の支払いを受ける解決ができました。

 交通事故と会社の反射損害についても、難しい問題です。
 お困りの方はぜひ当法律事務所弁護士に相談してください。