多発肋骨骨折 外傷性血気胸 呼吸困難 後遺障害11級10号認定事例

今回の事例は、交通事故で肋骨(ろっこつ)を骨折し、血気胸の状態となり、呼吸困難が改善せず、後遺障害11級が認定された事例をご紹介いたします。

 なお、このケースは、肩甲骨骨折、鎖骨遠位端骨折があり肩関節の可動域が制限されて後遺障害12級6号が、また、胸椎破裂骨折があり脊柱の変形で後遺障害11級7号がそれぞれ認定され、併合10級になったケースですが、ここでは、おもに呼吸困難を取り上げることにいたします。

 

被害者、交通事故の発生

 
50代男性(給与所得者)の方が被害者でした。

被害者は、バイクで道路を直進走行中、対向車線から乗用車が道路外施設に入ろうと右折してきて被害者のバイクに衝突しました。

被害者は病院に救急搬送されました。

 

当法律事務所弁護士がご依頼を受ける前の状況

 
被害者は、救急搬送先の病院で、肩甲骨骨折、肋骨多発骨折、外傷性血気胸などの診断を受けましたが、すぐに別の病院に転院となりました。
被害者は命の危険のある状態でした。

● 血気胸(けつききょう)とは

気胸(ききょう)…かんたんにいいますと、肺に穴があいてしまい、肺の外側のスペースに空気が 
         もれてしまうことです。もちろん、交通事故のような外傷が原因で起こること
         もあります。

血気胸…かんたんにいいますと、肺の外側のスペースに空気だけでなく、出血した血液もたまった
    状態のことをいいます。

 外傷を負った場合、救急医療でまず見逃されてはいけない傷病です。

転院先の病院では血胸の止血術が行われ肋骨の整復術、破裂骨折をした胸椎の固定術も行われました。
その後、胸の血腫を除去する手術も行われました。

被害者は事故後1ヶ月あまり、胸帯をつけることになりました。

その後も、整形外科関係(鎖骨、肩甲骨骨折、胸椎破裂骨折など)のリハビリのために別の病院にも通院することになりました。

被害者には、安静時もそうですが、事故後の休職後復職した際にも呼吸困難(呼吸器障害)があったため、呼気機能検査スパイロメトリー ともいいます。)が行われました。
呼気機能検査(スパイロメトリー)は、事故から1年半余りの間に5回実施されました。 

● 呼吸困難(呼吸器障害)

 被害者は以下に関し、呼吸器外科で治療を受けました。

 呼吸困難(呼吸器の障害)については、呼吸困難が生じるような事故状況であったかどうかと、医
 療機関でどのような診断がなされたかどうかがまずポイントになります。

 本件の事故状況ですが、被害者は大きなエネルギーを受け外傷を負いましたし、肋骨多発骨折を受
 傷し、外傷性血気胸が生じていました。肋骨骨折の程度がひどいとその内にある内臓を受傷するお
 それがあるということです。

 さらに言いますと、肋骨整復術により本件被害者の肋骨固定にプレートまで使用されるほどの受傷
 状況でした。
 血気胸には血腫除去術まで施行されました。

 

当法律事務所での無料相談、弁護士受任

 
交通事故から2年弱ほど経ち、整形外科で症状固定となり、被害者の後遺障害診断が行われました。

作成された後遺障害診断書の内容が、これで大丈夫かどうか被害者は不安になり、当法律事務所の無料相談をご利用になりました。

当法律事務所弁護士は、事故状況、治療状況、症状についてご確認し、初回にご持参いただいた整形外科で作成された後遺障害診断書を拝見しました。

 整形外科が作成した後遺障害診断書を見て

胸椎の破裂骨折については、重要な記載がほとんど抜けている内容でした。

鎖骨遠位端骨折(鎖骨の肩付近の骨折です)と肩甲骨骨折(どちらの骨折も同じ側のものです)に関しては、肩関節運動(関節の可動域の測定です)が3運動しか記載されていませんでした(肩関節は全部で6つの運動を測定する必要があります。)。測定されていない運動の中には、「外転」という非常に重要な運動の測定値が記載されていませんでした。

上記の点だけでも、後遺障害診断書の記載内容は、主治医の先生に確認する事項や追記をお願いいただく事項がたくさん残っている状態ということになります。

また、初回相談の際、被害者は、呼吸機能検査(スパイロメトリー)結果の書面をご持参されました。実施された5回分の検査資料を全て持参されました。

● 呼吸機能検査(スパイロメトリー)結果

被害者に行われた呼気検査は呼気機能検査(スパイロメトリー)だけでした。

弁護士が検査結果を確認しますと、検査を受けるにしたがって数値はだんだんと良くなっていましたが、症状固定直前の検査数値は次のとおりでした。

 %肺活量…76.1%

%1秒量…62.9%

弁護士が被害者に自覚症状を確認しますと、仕事の時はもちろん、安静時でも呼吸困難があり、階段のぼりでは呼吸困難で休憩が必要になるとのことでした。
上記の検査結果からすると、呼吸機能障害に関し後遺障害11級10号が認定される可能性があります。

ところが、主治医の先生からは、検査結果からは大きな問題はないし、後遺症は問題にならないと言われたとのことでした。

被害者には後遺障害等級が見込まれそうな症状や状態がいくつかあり、今後のためにも適正かつ相当な後遺障害等級の認定を受ける必要がありました。
しかし、後遺障害等級の申請を受けるまでに上記のようなハードルがあり、被害者だけで行動されるには限界を感じられ、当法律事務所弁護士がご依頼をお受けすることになりました(被害者のこの事故には弁護士費用特約の適用はありませんでした。)。

後遺障害診断までの準備

 
当法律事務所弁護士は、本件の事件終了までの一番のヤマは、後遺障害等級申請までの準備にあると考えました。

ところが、後遺障害診断書を作成いただくべき入通院先の医療機関の整形外科も消化器外科も弁護士の同行に応じていただけませんでした(この医療機関は過去に脳挫傷受傷案件で脳神経外科の同行については応じていただけたのですが…)。

被害者とご相談のうえ、各診療科には、弁護士から文書にて要件をお伝えすることにしました(呼吸器外科では、主治医の先生は後遺障害に関して消極的なご見解とのことであり、厳しい状況ではありましたが)。

結局、整形外科関係でも測定未記載の点は追記があり、呼吸器外科でも後遺障害診断書を作成していただけることになりました。

呼吸困難に関する後遺障害診断書の記載内容

 以下のとおりです。

傷病名欄          多発肋骨骨折後

自覚症状欄         労働時および安静時の呼吸困難がある階段の上りの際には3階程度  
              で呼吸困難のため休憩が必要な状態である

他覚症状および検査結果の欄 拘束性換気障害
             「別紙検査結果参照」(後遺障害診断書に検査結果を添付されまし
              た。)
              ※その他も少し記載がありましたが省略いたします。

障害内容の増悪・緩解の見通
しに関する欄        症状固定している


後遺障害等級認定結果

 
後遺障害等級認定の申請は、弁護士が代理して自賠責保険会社に行いました。
このケースは、自賠責保険損害調査事務所の東京本部で調査となり、結果が返ってくるまで通常よりも時間がかかりました。

結果は、後遺障害併合10級 でした。

呼吸機能障害  後遺障害11級10号
胸椎破裂骨折  後遺障害11級 7号
肩関節機能障害 後遺障害12級 6号

が認定されました。これらの処理は併合となります。
つまり、一番重い後遺障害等級である11級をひとつ繰り上げる処理となり、併合10級になるということです。

 呼吸機能障害(呼吸困難)に関しての認定理由

多発肋骨骨折、外傷性血気胸後の呼吸機能障害については後遺障害診断書上、「階段の上りの際には3階程度で呼吸困難のため休憩が必要」という点やスパイロメトリーの結果等を勘案すれば、「%1秒量が55を超え70以下又は%肺活量が60を超え80以下であるもの」で、「軽度の呼吸困難が認められるもの」ととらえられ、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当の程度の支障があるもの」として後遺障害11級10号に該当するとのことでした。

 

ひとこと

 
本件は、最終示談で1438万円の支払を受ける合意が相手任意保険会社とでき(被害者にも多少の過失割合がある事案でした。)、後遺障害等級認定の際に自賠責保険から支払を受けた461万円とあわせて、弁護士加入後1899万円の支払を受けることができました。

本件で呼吸機能障害の後遺障害等級が認定されたことは大きな意味を持ちます。
主治医の先生はずっと消極的なご見解だったようですが、被害者も弁護士もあきらめずにがんばって妥当な後遺障害等級が認定されたといえるケースでした。

  

 

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